リースバックは自宅を売却しつつ、そのまま住み続けられる画期的な仕組みとして、近年注目を集めています。
持ち家を手放すことに抵抗を感じる方も多いかもしれません。しかし、リースバックを上手に活用すれば、資金調達と居住の継続を両立できる可能性があります。
そこで本記事では、リースバックの基本的な仕組みやメリット・デメリットについて、詳しく解説していきます。
リースバックとは?自宅を売却して賃貸として住み続ける仕組み
リースバックとは、自宅などの不動産を売却した上で、その物件を賃貸として借り続ける取引形態を指します。つまり、売主が買主から自宅を借りるという、一見矛盾した状況が生まれます。
具体的な流れは以下の通りです。
- 所有している自宅を、不動産会社や投資家に売却する
- 売却代金を受け取り、さまざまな用途に充てられる
- 売却した自宅を、新しいオーナーから賃借する形で住み続ける
このように、自宅の所有権は手放すものの、引き続き住み慣れた環境で生活できるのが、リースバックの大きな特徴だと言えます。
一般的な不動産売買との違いを、表にまとめてみました。
リースバック | 一般的な不動産売買 | |
---|---|---|
売却代金 | 一括で受け取る | 一括で受け取る |
引き渡し後の居住 | 賃借人として住み続けられる | 物件から退去する必要がある |
固定資産税等の負担 | オーナー負担のため不要 | 売主の負担であり必要 |
自宅を手放したくない、でも資金は必要という場合に、リースバックは有力な選択肢の一つとなり得ます。
持ち家をリースバックするメリット
それでは、持ち家をリースバックするメリットについて見ていきましょう。大きく分けて、以下の3点が挙げられます。
1. 資金調達ができる
リースバックの最大のメリットは、自宅を売却することで多額の資金を手に入れられる点です。
- 住宅ローンの返済に充てたり、老後資金の確保に活用したりできる
- 事業資金やまとまった支出が必要な時に、有効な資金調達手段となり得る
特に、高齢者世帯にとっては魅力的な選択肢だと考えられます。年金収入だけでは生活が苦しいケースでも、リースバックを活用すれば、ゆとりのある老後を送れる可能性があります。
2. 住み慣れた自宅に住み続けられる
リースバックなら、売却後も自宅から退去する必要はありません。新天地への引っ越しといった心理的・肉体的負担を避けつつ、安定した居住環境を維持できます。
- 高齢者にとって、住み慣れた地域で暮らし続けられるのは大きなメリット
- 子育て世帯なら、子どもの教育環境を変えずに済む
自宅を売却しても、生活空間が変わらないのは、リースバックならではの利点だと言えるでしょう。
3. 固定資産税等の負担がなくなる
自宅を売却してしまえば、固定資産税や都市計画税、維持修繕費といった負担はオーナー側に移ります。
- 自宅の維持コストを大幅に削減できる
- 老朽化した建物の修繕といった、高額な出費リスクを避けられる
物件の所有に伴う面倒な諸経費から解放されるのも、リースバックの魅力の一つです。
リースバックのデメリットと注意点
リースバックにはメリットが多い一方で、デメリットや注意点も存在します。
1. 自宅の所有権を失う
リースバックを利用すれば、売却代金を得られる反面、自宅の所有権は手放すことになります。
- 「自宅は資産」という考え方とは相容れない面がある
- 物件の資産価値が将来的に上昇しても、そのメリットを享受できない
リースバック後に、オーナー側の一存で物件が売却されるリスクもあります。「最後まで自宅に住み続けたい」という希望とは、やや矛盾する部分があると言えるでしょう。
2. 家賃負担が発生する
自宅を売却した後は、家賃を支払う必要が出てきます。
- 家賃収入で生活する高齢者世帯などでは、新たな負担となる可能性がある
- 契約内容次第では、家賃が高額に設定されるケースも
リースバック前の住宅ローン返済額と、リースバック後の家賃とを比較し、慎重に検討する必要があります。
3. 買戻しが難しい場合がある
リースバック契約の中には、「数年後に元の所有者が買い戻せる」といった条項が盛り込まれることがあります。
- 買戻し特約があれば、資金繰り次第で自宅を取り戻せる
- ただし、買戻し特約のない契約も多い
「いずれは自宅を取り戻したい」と考えるなら、買戻しの可否を事前に確認しておくことが大切です。
物件や家族の状況を見極めてリースバックを検討
以上、リースバックの基本的な仕組みやメリット・デメリットについて解説してきました。
総じて、リースバックは自宅を売却しつつ住み続けられる画期的な仕組みである一方、デメリットや注意点も少なくありません。
物件の状態や家族の状況、将来の資金計画などを総合的に見極めた上で、リースバックの是非を検討することが肝要だと考えられます。
金融機関の担当者や不動産の専門家などに相談しつつ、自身に最適な選択を見出していくことが望ましいでしょう。